初期研修を大学病院で受けないという選択について

おはようございます。
医師のライフプランを日常的に考えているから
転職や開業を医師の立場でサポートできる
ジーネット株式会社の小野勝広です。
国家試験に受かり、
初期研修が始まる…。
希望と不安が入り混じる時期なのでしょうね。
今回は2017年度の臨床研修マッチング制度について
考えたいと思います。
よってタイトルは、
『初期研修を大学病院で受けないという選択について』です。
臨床研修マッチングの中間報告!
先日、医療ビジネス健全化協議会が運営するIBIKENサイトにて
下記のような記事を掲載しました。
臨床研修マッチングに見る中堅・ベテランドクターのキャリアデザイン!
こちらは完全無料で閲覧できるサイトですし、
医師のキャリアやクリニックの開業、そして経営に関してや
医師からの情報発信、学会等のスケジュールまで、
非常に幅広い情報が収集できますので、
どうぞお時間ある時にじっくりとご覧になって下さいね。
さて、こちらでも書きましたが、
今年の臨床研修マッチングについてニュースがありました。
概要を整理しますと、
①地方の病院で研修が決まった医学生が過去最高の58.9%に達したことが分かった。
⇒ 大都市圏の研修医割合は9年連続で減少し、
地方で研修を受けるケースが増えている。
②大学病院で研修する割合は41.4%で、
前年度の42.7%を下回り、過去最低を更新している。
研修医の間で大学病院の人気は依然、低迷したままだ。
⇒ 人気が低迷している。
③2017年度の研修希望者は9,969人で、うち9,726人が研修希望先を登録した。
このうち、内定したのは9023人。
78.8%が第1希望、97.4%が第3希望まででマッチングした。
この3点が大きなポイントと言えるかと考えます。
都心から地方へ!大学から民間へ!
昨今、医師の偏在が課題となっており、
研修医に関しても同様の現象が起きている事から
定員数を減少するなど地方への誘致を積極的に行ったようですね。
よって東京都、神奈川県、愛知県、
京都府、大阪府、福岡県などの大都市圏から
新潟県、岩手県、石川県、宮城県、和歌山県(対前年比の上位5県)などに
上手く分散されたとの事。
上位5県以外でも長崎県、徳島県、福井県、富山県、鳥取県は
内定者数が増加してますので、
これは一定の効果があったと言えるでしょう。
国内でのバランスが取れつつある事は
素直に評価して良いのだと思います。
問題は大学病院で研修する方が前年を下回り
過去最低になっているとの事…。
実際には昨年度3,806名が3,738名に微減してだけであり、
定員充足率が100%の大学も多い事から
それほど心配する事はないんだとは思います。
しかし政策的な誘導もあるとは言え、
やはり大学病院は医療においてのピラミッドの頂点だと思うんです。
そんな大学病院で研修を受ける方が年々少なくなっているのは
何だか気になりますし、ちょっと心配です。
大学は旧態依然とした組織なのか?
研修をする環境を民間病院が整えてきたというのは
やはりあるんだと思います。
経営状況の悪い病院が身売りして、
資金、人材、設備を持つ大手グループ病院が
続々とM&Aを進めてきたので
トータルとして民間病院の地位が向上したのでしょう。
赤字続きの自治体系の病院とは
だいぶ異なるのでしょうね。
しかし大学病院の持つパワーは
決して衰えたとは言えないと思います。
資金の問題は別として、
やはり人材と設備、そして技術に関しては
国内トップクラスなんだと思うんです。
(大学病院の中でも差はあるんでしょうけどね)
ではなぜ大学病院から民間病院への流れが
徐々に進んでいるのか?
医学的な部分は私にはわかりませんが、
大学病院の組織が旧態依然としていて
イメージ的に良くないという点があるような気がします。
教授をトップとして
准教授、講師、医局長、助教といった
ヒエラルキーが敬遠されているのかもしれません。
3次救急のハードな環境が避けられているのかもしれません。
理由はいろいろあるのでしょうが、
医師のキャリアという観点から考えると
臨床、研究、教育をバランス良く学べて、
なおかつ臨床経験も多く積む事もできますし、
難症例なども診る事もあるでしょうし、
最新医療が身近にある医療現場という事を考えると
大学病院は決して悪くないように思うんです。
この辺りの論点は私自身もう少し研究をしたい分野です。
仲の良い先生方からもご意見を頂戴しつつ
大いにディスカッションさせて頂きたいです。
それでは、また…。
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