おはようございます。
医師のキャリアプランを軸に捉えて
転職やクリニック開業を支援し続ける
ジーネット株式会社の小野勝広です。
厳密なデータではありませんが、
エージェントを利用した経験のある医師は
まだ30%程度と言われているようです。
おそらく年々増えていると思いますが、
まだまだ浸透していませんし、
正直、評判の悪い会社もありますし、
そもそもエージェントの本来的意義を果たせておらず
特に医療系のエージェントは猛省し、
改善していかねばならないと思ってます。
という事で時々お知らせしている
某社よりお受けしたインタビュー記事をお送りします。
本日のブログのタイトルは、
【 エージェントは、こう利用しましょう! 】
といたしました。
<医師はエージェントをこう使いましょう!>
― 小野さん、いつもお世話になります。
今回は今までと趣向を変えて、
医師の皆さんがエージェントを利用する際に、
どんな点に気を付けるべきか?をお伺いしたくてまいりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
ジーネット株式会社 小野氏(以下小野敬称略):
わざわざ、ご足労を頂き恐縮です。
今までは、先生方のキャリアに関してのお話が多かったので、
新たな視点での話しは良いかもしれませんね。
― 医師のエージェントを利用する先生は、
全体の30%くらいと言われているようですが、
その辺りの小野さんの実感としては、どうですか?
小野:そうですね。医師会総研の資料などを見ても、
だいたい30%前後となっていますし、
実感としても30%に違和感はありません。
ただ気になるのは、常勤、定期非常勤、スポットという
区分けはしていないでしょうから、
おそらく定期非常勤やスポットが多く、
常勤は少ないのかもしれないなとは予測します。
― それは定期非常勤やスポットで、
エージェントを利用している医師が多いという事ですか?
小野:はい、その通りです。
どことは申しませんが、常勤での転職よりも、
定期非常勤やスポットアルバイトを中心とした
営業展開をしているエージェントは多いです。
成約が何万件もありますと謳っているエージェントは、
そのほとんどが定期非常勤やスポットですから、
やはり利用される先生方も
アルバイトが中心であると想像付きますね。
― 御社は、ほとんどが常勤と伺ってます。
定期非常勤やスポットはどうなのですか?
小野:弊社は7割くらいが常勤です。
スポットは、よく知っている先生と、
よく知っている医療機関を繋ぐくらいで、
稀に対応しています、というレベルですね。
定期非常勤については、それなりに依頼が多いので、
できるだけ対応してはいますが、
今のところ東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県が
中心となっています。
まあ医療系のエージェントの中では、
独自の展開を見せているのが弊社ですので、
是非とも先生方には常勤の時はジーネット、
バイトは大手で、と覚えておいて欲しいです(笑)
― なぜ常勤に強いエージェントと、
定期非常勤やスポットなどのアルバイトに強いエージェントに
分かれるのでしょうか?
小野:あ、それはいい質問ですね。
エージェントの上手い使い方に直結すると思います。
定期非常勤やスポットは、
エージェントの力量とかノウハウというよりは、
システムの力が大きいです。
某社のサイトでは、
希望する日時の案件にポチッとすれば、
はいそれで確定です、と結果がでてきますよね。
立派なシステムですし、
医療機関側も医師も、お互いが助かっていますので、
これは存在価値があると思います。
その一方で、常勤の場合は当然そんな簡単にはいきません。
弊社のキャリアプラン主導型のオーダーメードな転職支援というのは、
業界の中でもサポートがかなり手厚いので特殊かもしれませんが、
そこまでいかなくとも、
①最初の問合せから入職まで早くても3か月~6か月、
長いと1年とか1年以上の期間が掛かってきますし、
②転職する先生方もバイトとは違って真剣に職場を選びますので、
求人選びも慎重です。
③採用する医療機関側もバイトの先生とは違って、
はい決定、とは簡単に言えませんし、
④条件交渉もシビアに行われますし、
⑤入職する医療機関だけではなく、
退職する医療機関との調整も時間が掛かりますから、
①~⑤のすべてをサポートするとなると、
エージェント側も相当の経験とノウハウがないと、
なかなかできません。
― つまり定期非常勤やスポットは、
システム力が大きいので、
システム開発力がある大手エージェントが得意とするところで、
常勤は長期的に継続したサポートが必要となるので、
経験とノウハウを持つベテランコンサルタントが
在籍しているエージェントが有利であるという事ですか?
小野:概ね、そういう事ですね。
もちろん大手エージェントにも、
常勤が得意なコンサルタントは在籍しているでしょうし、
常勤をメインとするエージェントでも
定期非常勤やスポットを得意とする
コンサルタントはいると思います。
ただ一般的には、大手はシステム力を駆使して
定期非常勤やスポット、
中小は手厚いサポートをウリとした常勤、
このような構図はあると言って良いかと思います。
弊社の場合、仲良くさせていただいている先生方は、
皆さん弊社の特徴をよく理解されてて、
常勤の時は、よろしくね・・・と言いながら、
バイトは大手を利用されているという方も
結構いらっしゃいます(苦笑)
― 確かに定期非常勤やスポットを大手エージェントでというのは、
システムの問題があるので何となくわかりますが、
例えば御社のように経験豊富なコンサルタントが揃っている中小エージェントは、
定期非常勤やスポットをどのように位置づけているのですか?
小野:弊社の場合は、
あくまでも7割前後が常勤の転職支援となっていますし、
それ以外にクリニックの開業支援も行っていますので、
マンパワーの問題がどうしてもあるんですよね。
まして、スポットに関しては積極的ではありませんので、
定期非常勤の話になってしまいますが…。
まず最も多いのは、常勤先が決まった先生が、
ついでに定期非常勤も…と、ご依頼頂くケースが多いです。
例えば週4.5日で、
月曜、火曜、木曜、金曜、土曜午前での勤務が決まった場合に、
水曜日の定期非常勤先を探して欲しいとか、
土曜の午後も探して欲しいというような事です。
それ以外には、例えば業務内容を限定して探したいとか、
地域にこだわりたいとか、経験できる症例にこだわりたいとか、
1日でいくらの給与以上を望んでいるとか、
何か「こだわりたいポイント」があって、
他社のサイトを見ても中々ないから
探して欲しいというケースも多いです。
前者は信頼関係ができている事が要因でしょうし、
後者はサイトにないので
イチから探すスタンスの弊社なら探してくれるかも?という
期待感でお声掛けをして下さるのかもしれませんね。
― なるほど。御社の場合は定期非常勤でも、
ただのバイトというよりは、経験とか条件とか、
どうしてもこだわりたいポイントがある先生が、
問合せをしてこられているんですね。
小野:ある意味では、大手エージェントさんとは
差別化できているのかもしれません。
いいのか悪いのかは、わかりませんが…。
もともと弊社は、求人主導ではなく、
先生のキャリアプランやビジョンに沿って、
イチから求人を探していくスタンスですから、
「こだわりたいポイント」がある先生には、
向いているのかもしれませんね。
その一方で、とにかく〇曜日のバイト先を探したいとか、
〇月〇日に働きたいとか、
特別なこだわりたいポイントがない場合は、
物量勝負の大手さんが向くのではないかと思います。
― 定期非常勤やスポットの仕事をお探しになる先生は、
やはり大手エージェントさんで探すのが良いけれども、
どうしてものこだわりがあって、
大手エージェントさんでは探しきれない場合は、
御社のような中小エージェントもありという感じでしょうか?
小野:ホントは、何でもお受けしますよ~と言いたいところではありますが、
どうしても弊社の事業スタイルは常勤優先ですから、
バイト先探しは大手エージェントさんの方が効率よく、
先生方の手間も掛からないので、
正直、そちらを優先した方が良いです、と言わざるを得ませんね。
ただこの辺りは、各社それぞれの特徴があるでしょう。
ですから特徴を掴んで、
依頼するかどうかを決めるのがベストです。
ところが、ホームページを見ても
わかりにくいのが現実ですし、
宣伝広告を安易に信じるのも危険です。
何でもやりま~す、という所は
結局強みがないだけだったりしますから、
こういうところが判断材料になるかもしれませんね。
― 逆に常勤に関しては、
医療系のエージェント業界全体として、
どう分析されていますか?
小野:先程申し上げましたように、
常勤の転職支援というのは、
時間も手間も掛かりますし、
何よりセンシティブなやり取りが非常に多くなります。
ですから、経験が浅い担当者や、
常勤の取り扱いが今まで少ないエージェントでは、
なかなか上手く行かないケースが多いです。
実際に弊社には、
某社に依頼したけど上手く進まないので
手伝って欲しいというお話しが、
月に数件は入ってきています。
― やはり経験値の高いコンサルタントが在籍しているというのが
ポイントでしょうか?
小野:そうですね。経験値だけではないと思いますし、
センスがあれば経験が浅くてもできるとは思うのですけど、
交渉事なども含めて、
不測の事態にも適切に対応できるなども必要ですから、
経験値は高いに越した事がないでしょうね。
実際に担当のコンサルタントに破談にされたとか、
お願いしたのに全く何もしてくれなかったなど、
お怒りモードで弊社にお越しになる先生もいらっしゃいますからね…。
― ちなみに小野さんは、常勤の転職の際に気を付けるべき点は、
何があると思いますか?
小野 基本的に医師の皆さんは、
エージェントを使わずとも
新たな常勤先を決める事はできると思ってます。
売り手市場ですから、引く手あまたでしょうしね。
ただ、こういう中でもエージェントを利用するのは、
やっぱり理由があると思うんです。
よくあるのが、
①求人サイトに希望の案件がないとか、
②初めての転職活動なので、何から始めて良いかわからないとか、
③条件交渉をしっかりお願いしたいとか、
④雇用契約をきちんと締結したいとか、
⑤単なる職場探しではなくて、中長期的な医師人生を考えたいとか、
こんな理由ですね。
― なるほど、この①~⑤の理由を聞く限りでは、
御社がいつも述べている事ですね。
小野 そうですね。
常勤が最も得意なエージェントですから(笑)
ただ先生方も皆さん同じ考えではありませんし、
エージェントを利用した事が何度もあれば、
求人だけ案内してくれれば全部自分でするよ…という先生も
いらっしゃると思うんです。
こういう先生は弊社じゃなく、
経験値の浅い担当者でも構わないと思うんですね。
求人が多数ある大手エージェントさんの方が良いかもしれません。
― となると、先生方がエージェントを利用する際には、
まずは自己分析といいますか、
ご自身の状況を冷静に把握するという事が大事なんですね。
小野 そういう事ですね。
私どもが提唱し続けているキャリアプランとまでは行かずとも、
❶ エージェントを利用した経験はありますか?
❷ 医療機関との交渉を自分でする事に抵抗はないですか?
❸ 希望条件などはすでに固まっていますか?
これら3つの答えがすべてYESなら、
どこのエージェントでも構わないでしょうし、
担当者の経験やスキルは、
あまり気にされなくて良いと思います。
しかし、NOがひとつでもあるのなら、
経験豊富なコンサルタントが在籍するエージェントの方が、
安心感は持てるでしょうね。
― それは常勤でも、定期非常勤やスポットでもですか?
小野 どちらでもです。
大きな会社さんでは、
常勤担当、非常勤担当、スポット担当などと分かれていたりしますが、
中小ではすべて行うケースが多いでしょう。
変な話ですけど、常勤のお手伝いができるレベルのコンサルタントは、
定期非常勤やスポットも当然できます。
でも、逆は成立しません。
普段、定期非常勤やスポットしかやっていないコンサルタントが
常勤をできるか?となると、
よほどのセンスがないとできないと思いますよ。
だいたい、どこかで失敗します。
― 大手、中堅、中小のいずれのエージェントが良いのか?
また、常勤、定期非常勤、スポットのいずれで利用するのか?
そして、更には、ご自身の持つ転職ノウハウによっても
異なってくるという事ですね。
小野 きれいにまとめて下さり有難うございます(笑)
おっしゃる通りです。
どうしても知名度の高い会社や、
規模の大きな会社の方が安心できるのでは?と
皆さん考えがちですが、
全否定はしないものの、
質という点では場合によっては、
中小の方が高かったりするのではないでしょうか?
ただ、会社の問題だけではなく、
担当者のレベル、経験やスキルの方が、
依頼するかどうかのチェックポイントとしては大きいと思います。
いや、この点を厳密にチェックしないと、
後々後悔する事になりかねませんね。
― ちなみに、担当者の質は、お会いするまでわからないですよね?
小野 そうなんですよね。
なので弊社は、ブログやSNSにて
積極的に情報発信をしているのですが、
これはつまり、お会いする前に
ある程度の人となりや考え方、方針をご理解して頂いた上で
お声掛け頂けたら…という事なのです。
― まずは、ご自身の境遇を振り返り、
エージェントのタイプを見極めて
選んでいく事が大事だという事ですね?
小野 はい、初めてエージェントを利用するのか?否か?
常勤先の転職なのか、
定期非常勤やスポットのアルバイトなのか?
求めているのは、求人の量なのか?
ご自身に合った特別な求人なのか?
エージェントに期待するのは、
求人数なのか?求人の質なのか?
はたまた、転職のノウハウや事例やアドバイスなのか?
これらによって、選ぶべきエージェントは異なります。
― その上で、バイト案件は
一般的には大手エージェントに強みがあり、
こだわりがある場合は、
中小エージェントの方が動いてくれそうであると…。
小野 はい、そして担当者次第で、
サービスの質は相当に異なってくるという事です。
私が言うのも何ですが、
医療業界は初めてなんです!とか、
エージェント業は初めてです!という方が
医師の転職支援をするのには違和感があります。
もちろん誰もが最初は素人なんですけど、
上司や先輩が付きっきりで教えないといけませんよね。
特に、1年目ですとか、2年目です、という人を
1人で担当させるのは、あり得ないと思います。
― 小野さんから見て、
こんな担当者は避けた方が良いかも?などはありますか?
小野 誠に答えづらい質問ですが(笑)、
しいて言うなら、
①軽薄な人、
②勉強不足な人、
③連絡が遅い人、
④医療に興味がない人、
⑤マッチングが強引な人、
これら①~⑤は論外だと思います。
― それでは最後に、小野さんが考える、
医師がエージェントを選ぶ時のコツを伝授して下さい。
小野 結論から申し上げますと、
自分に合うエージェントを利用しよう!の
ひと言になると思います。
この自分に合うってのが難しいんですね。
ここがわからないと宣伝広告に翻弄されてしまったり、
知名度があるから、
大きな会社だから安心と思い、
後々後悔する事に繋がったりする訳です。
ですから最初のアドバイスとしては、
どんなエージェントが自分に合うか?を考えるのが重要です。
以前、私がお会いした先生は、
自分はベンチャーが好き、
一緒に成長できるじゃない?と
おっしゃる先生もいらっしゃいました。
おそらく、その一方で大手企業の安心感を買うという
先生もいらっしゃるでしょう。
これは大手がいいか、中小がいいか、ではなく、
自分はどっちが合うか?の問題だと思います。
その点も含めて、まずはご自身の現状を振り返り、
自分は何を求めているのか?
ここが明らかになると、
選ぶ先がある程度見えてきますね。
― 自分自身と向き合う。これはキャリア上も大切な事ですよね。
小野 そう思います。
私が提唱し続けているキャリアプランはまさにそうですが、
結局自分がわからないと主導権を譲り渡してしまうので、
思うように行かなかったりするんですよね。
それと、もうひとつ大事な点、
別に先生方は1社だけに
お願いしなければならない訳ではありません。
数社の話を聞いてみても良いと思います。
しかし中には、他社にも声を掛けるなら
うちはやらない…とか言い出すエージェントもあるようです。
これはあってはならない事です。
むしろ、こういうエージェントは避けた方が良いですね。
どうぞ、いろんな会社の話を聞いて下さい、と気持ち良く言う
エージェントが望ましいです。
― ああ、時々そういう話は聞きますね。
小野 自信のなさの表れなのでしょうね。
医療の世界はフリーアクセスですが、
まあこれにも諸々問題はありますけど、
エージェントは間違いなくフリーアクセスです。
納得するまでお話を聞いてみても良いと思います。
各社それぞれ特徴がありますからね。
― エージェントも競争が激しくなり、
勝ち組、負け組が出始めていますよね?
小野 余裕のないところはガッツいているというか…。
それが医師や医療機関の為になるならよいですが、
自社の生き残りしか考えていないのでは困りますよね。
強引な仕事をする担当者の在籍する会社に、
まともな所はありません。
― 初めてエージェントを利用する先生には、何かありますか?
小野 初めてだからって気後れする必要はありませんし、
初めてと伝える必要もありません。
自分が何を考えていて、
どういう点に不満や不安、悩みがあり、
現状何を望んでいるのかを伝えればいいだけです。
あとはエージェントの担当者の話を聞き、
これは話にならないと思えば、
その後はコンタクトしなければ良いですし、
パートナーとして相応しいと思えば、
その後もお付き合いすればいいだけです。
ある意味では、初診の外来に似ているかもしれませんね。
どうしました?から始まり、
症状を説明、問診を繰り返し、
検査を行い、診断を付けていく。
このプロセスが成立すればいい担当者、
成立しなければ、もう来院しない…みたいな(笑)
― 今回も長時間、有難うございました。
“エージェントはこう利用しましょう!”。
非常に興味深く感じました。
是非また、ご協力ください。
小野 こちらこそ有難うございました。
また、お気軽にどうぞ!
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