おはようございます。
医師が転職や開業を通して
より良い未来を手にするために
キャリアプランの重要性を発信し続ける
ジーネット株式会社の小野勝広です。
本日のブログのタイトルは、
【 「転職したい」の正体は逃避か、再設計か——リスタートの見極め方 】
といたしました。
<目次>
1.キャリアの主導権は「感情」を言語化して「論理」で決める
・感情を言語化して意思決定につなげるプロセス
・逃げてもいい/逃げ癖になる:境界線はどこか
2.医師のキャリアは、市場価値の先に「存在価値」が残る
・スキル・実績があっても信頼がないと詰む
・「正解の転職」はないが、「筋の通った転職」はある
*まとめ

目次
1.キャリアの主導権は「感情」を言語化して「論理」で決める
転職を考えるとき、
多くの方は「条件」から入ることが多いです。
年収、当直回数、勤務時間、
立地、科目、役職等々、もちろんこれも大事です。
ですが、それ以前に整理すべきものがあります。
それが「感情」です。
今の職場に対して、何がつらいのか。
何に腹が立つのか。何が怖いのか。
何に疲れたのか。
逆に、何が満たされていないのか。
ここを曖昧なままにして、
条件「だけ」で次を選ぶと、
環境が変わっても同じ種類のストレスが再発します。
「転職したい」という言葉の正体が、
実は「言語化」されていない一時の「感情の塊」だった、
ということは珍しくありません。
もちろん感情は悪者ではありません。
むしろ、危険信号として、とても優秀です。
ただし、感情はそのままでは
意思決定の材料になりません。
いったん言語化し、分解し、
優先順位をつけて、
初めて「論理」に変換できます。
この章では、感情を否定せずに受け止めつつ、
主導権を取り戻すための整理法をお伝えします。
そして「逃げてもいい逃避」と
「逃げ癖になる逃避」の境界線を、
できるだけ具体的に追求してまいります。
・感情を言語化して意思決定につなげるプロセス
まずおすすめしたいのは、
「転職したい」という自分の気持ちを
そのまま信じないことです。
自分の思いを信じないというのも
少し変な話ですけれど、
要はプロセスを丁寧に踏みましょうということです。
言葉の背後にある「感情」を、
もう少し細かく分解してみましょう。
この手順はシンプルで、
①事実、②解釈、③感情、④欲求、⑤条件、の順に
自分なりにテーブルに並べてみるのがいいです。
たとえば「上司が嫌だ」という場合でも、
事実は「挨拶すらない」、「いつも不機嫌である」、
「指摘が多い」、「相談しても返事が遅い」など
具体的に落とし込むことができますね。
次に解釈として
「否定されている気がする」
「尊重されていないと感じる」が出てくる。
そこから感情は
「悔しい」「不安」「虚しい」などに分かれます。
そして欲求は
「きちんと評価してほしい」
「普通に向き合ってほしい」
「裁量がほしい」となります。
ここまで来ると、
転職の「条件」は自然に絞れますよね。
上司の指導体制なのか、
裁量の大きさなのか、
自分自身の働き方なのか。
逆に言えば、
これが曖昧だと「年収アップ」「当直減」など
分かりやすい条件に飛びつきがちで、
根っこの問題を置き去りにしてしまいます。
加えて、もう一つ大切なのが
「再現性」の確認です。
今の苦しさは、
その上司だけの問題なのか、
この職場特有のものなのか。
それとも自分の思考の癖であったり、
人間関係の境界線の引き方の問題なのか、
コミュニケーションの仕方が関与しているのか。
冷静に我が身を振り返ってみるのも
今後につながっていくでしょう。
このような自己点検をすると、
転職が最適解ではなく、
職場内での配置転換や業務調整、
上司部下関係の結び直しで改善できるケースも見えてきます。
感情を言語化するとは、
感情を否定することではありません。
むしろ、感情を尊重しつつ、
キャリアや人生の「舵」を練り直す作業です。
転職は「逃げ」でも「正義」でもなく、
ただの「手段」です。
手段を正しく選ぶために、
まず内側の地図を描き直して、
「目的」を明確にすることが肝要です。
・逃げてもいい/逃げ癖になる:境界線はどこか
では、「逃げてもいい逃避」と
「逃げ癖になる逃避」の境界線はどこにあるのか。
私は、結論として「回復のための退避」か、
「課題から目を背ける回避」か、
ここだと考えています。
ただし「逃げるべき」職場もあります。
これは「ハラスメントが常態化している」ことと
「自分の心身に不調をきたしている」というケースです。
このようなところで頑張っても、
無理が掛かるだけですので、
こんなケースでは一目散に逃げてもよいです。
ただし、自分の感情に流されるのではなく、
丁寧に自分に問うことと
できることなら第三者への相談をするのがいいですね。
さて、「逃げてもいい逃避」ですが、
これは心身の安全を守るための撤退です。
睡眠が崩れている、食欲が落ちている、
出勤前に動悸がする、ミスが増える、
家族との会話が消える——。
前述した「逃げるべき」まではいかずとも、
こういう状態で踏ん張り続けるのは
決して「美徳」とは言えません。
判断力が落ちているときの根性論は、
キャリア以前に人生を壊します。
まず回復させる。環境を変える。
これは十分に合理的です。
次に「逃げ癖になる逃避」ですが、
環境を変えても
同じ問題が形を変えて現れやすいタイプです。
たとえば「嫌な指摘を受けたくない」
「責任が怖い」「人と衝突したくない」など、
避けたいものの正体が
自分の内側にある場合ですね。
これを素直に認めることができる人は
なかなかいらっしゃらないかもしれません。
人はどうしても他責にしがちです。
しかし、この場合の転職は
「短期的な痛み止め」にはなりますが、
長期的には別の職場で似た問題が起きがちです。
昨今ではつい退職代行サービスを利用して、
パッと辞めてしまう人も多いかもしれませんが、
やはり問題の本質を掴むべきでしょう。
つまり、転職するかどうかの前に、
今は「何を学ぶ局面なのか」を
客観性を持って見極める必要があります。
判断の目安として、
私はこの二点だけ確認することをお勧めします。
一つ目は「今の自分は正常に考えられているか」。
心身が壊れかけているなら、
まず退避が優先です。
第三者の冷静な見解も加えて
冷静に見つめ直してみましょう。
二つ目は「転職後にやることが言語化できているか」。
職場が変わったら自然に解決する、という
大きな期待を抱いているだけなら危険信号です。
次の環境で、何を変えるのか、何は変えないのか。
その「設計図」があるかどうか。
逃げること自体が悪なのではありません。
大事なのは、
逃げたあとに「再設計」に戻れるかどうかです。
よいリスタートになるかは
この振り返りのプロセスにあります。
<参考>
医師の転職で失敗する人の特徴とは?

2.医師のキャリアは、市場価値の先に「存在価値」が残る
ここまでで、
「転職したい」の背景にある感情を整理しつつ、
逃避と再設計の境界線を見てきました。
ただ、もう一つ忘れてはいけない
重要な視点があります。
それは、医師のキャリアは
「市場価値」だけでは完結しないということです。
年収や条件、勤務形態はもちろん大切です。
けれど、それらはあくまで
「評価の一部」にすぎません。
最終的に残るのは、
患者さんやスタッフ、地域からの信頼、
そして「この先生にいてほしい」と思われる存在感です。
市場価値は、マーケットのように上がり下がりします。
一方で、存在価値は、
積み重ねた姿勢と人間性がつくります。
つまり経験がすべて足し算されるのですね。
この第二章では、
スキルや実績だけでは語れない「信頼」の話と、
「筋の通った転職」とは何か、を整理していきます。
・スキル・実績があっても信頼がないと詰む
医師の転職市場では、
どうしても「見えるもの」が評価されます。
専門医の有無、手技の経験値、
症例数、当直の可否、
マネジメント経験、学会歴などですね。
データに落とし込める情報は分かりやすいですし、
採用側も判断しやすいです。
ただ、実際に現場で問われるのは、
当然それだけではありません。
むしろ、一定以上のスキルがある医師ほど
「差」となって表れてくるのは「信頼」です。
信頼は、資格や肩書ではなく、
日々の振る舞いで決まる部分が大きいです。
たとえば、忙しいときに雑になる。
看護師などコメディカルスタッフを軽く扱う。
逆に厳しく当たりすぎる。
患者への説明が不十分で不安を残す。
都合が悪いと責任を回避する。
逆に、自分のミスを認めない。
こういった小さなズレは、
最初は目立ちません。
しかし時間が経つほど、
周囲は確実に見ています。
結果として、紹介が減少する、
チームが回らない、
居場所がなくなる。
これが「詰む」という状態でしょうか。
信頼は数値化できませんし、
わかりにくいものではあります。
しかし医療業界という狭い世界で、
一度信頼を失うと
どこかで悪影響が出てくることは多いです。
実際に医療機関の採用担当者と話をしていても、
医師としてのスキルや経験よりも
まずは「人間性」や「チームプレーができるか」を
最優先で重視したいとおっしゃるケースは増えています。
転職がうまくいく人は、
条件や待遇も大事ですけど、
その人が「信用残高」をどれくらい積んでいるのか?
約束を守る、レスポンスが早い、
情報共有が丁寧、感情を乱さない、
困っている人を放置しない。
こういう姿勢は、
決して派手ではありませんが、
新たな転職先では最初に効いてくるものです。
スキルは時間をかければ補えますが、
信頼を失うのは一瞬ですし、
取り戻すのは非常に難しいです。
ですから、転職を考えるときは、
自分の市場価値を点検するだけでなく、
「自分は信頼される働き方をしているか」を
同時に振り返っていただきたいのです。
環境を変える前に、
信頼が積み上がる行動を整える。
これが、次の職場で
長く安定して働くための土台になります。
・「正解の転職」はないが、「筋の通った転職」はある

*まとめ
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