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雇われ院長(分院長)の宿命とは?

2026年5月6日by gnetdoctor

 

おはようございます。

医師が転職や開業を通して
より良い未来を手にするために
キャリアプランの重要性を発信し続ける
ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

先日、SNSにこんな投稿をしました。

 

人生はあなたが思った通りにしかならない。

だから、あなたが望んだ同じ人生が
何回も繰り返される。

だから、もっと望みなさい。
もっと高く強く望みなさい。

そうすれば、あなたが望んだとおりの人生が、
リアルに、得られるのである。

ニーチェの言葉です。

自分の人生、自分しだいですね。

 

X(旧twitter)では、
毎日午前中に名言シリーズとでも言いますが、
私が「なるほど」と思ったものをポストしています。

別に大した意味はないのですが、
なぜかずっと続けています。

お陰様で名言王になった気分です(笑)。
あ、でも、かなり自分のためにもなっています。

やはり語り続けられてきた言葉には
それだけの含蓄がありますからね。

 

本日のブログのタイトルは、
【 雇われ院長(分院長)の宿命とは? 】
といたしました。

 

<目次>
1.病院勤務は疲れた、開業する意欲はない
・雇われ院長(分院長)求人の裏事情
・雇われ院長(分院長)の悲しき事例
2.雇われ院長(分院長)は勤務医です
・問われるのは自身のキャリア観と望む働き方
・ごく稀にクリニックを譲渡する事例はありますが…
*まとめ

 

 

1.病院勤務は疲れた、開業する意欲はない

キャリアとは「スキル」と「経験」であると
私は、ずっと言い続けてきています。

それが絶対的な正解だとは思っていません。

取りあえず現段階では、
私の考えるキャリアの理論上で
とても使い勝手が良くて、
わりとわかりやすいというのが理由です。

スキルは、何ができるのか?
経験は、どの程度できるのか?

このふたつを証明するのがキャリアであり、
これからの将来に
どんなスキルや経験を身につけたいか?が
「キャリアプラン」となります。

医師人生の分岐点である転職シーンでは、
「今」時点のキャリアを客観的に分析して、
そのうえでキャリアプランを判断基準として、
どういう施設で働くのか?
どのような働き方を実現するのか?

このように考えることをお勧めいたしますし、
いわゆる条件に翻弄されてしまう転職を
自分に戒めるためにも必要な考え方です。

しかし、多くの医師紹介会社や
求人サイト、ポータルサイトなどは、
そんなことはお構いなく、
ただマッチングを成立させるために
安易な転職を促しているのが現実です。

プロにあるまじき仕事ですし、
資本主義に毒されていると言いますか、
私には自社都合の金儲け主義としか思えません。

こんなことをしているから、
さまざまなトラブルを起こし、
クレームが医師会や労働局、厚生労働省に届き、
事業の自由度が制限されていくのです。

業界の評判は下がる一方ですし、
医師紹介会社に対して悪いイメージを持つ方も
年々増えていると言わざるを得ません。

そして、わりとトラブルになりがちなので、
今回取り上げた雇われ院長(分院長)です。

 

・雇われ院長(分院長)求人の裏事情

ハードワークで病院勤務は疲れた。

とはいえ自分でクリニックを開業するほどの
強い意欲はない。

こういうケースでは、
雇われ院長(分院長)を選択肢に入れる先生は
わりと少なくありません。

いくつものクリニックを持つ医療法人としては、
常に院長先生を募集しているケースは多いですし、
新しい分院を増やそうと思えば院長が必要です。

ですから医療法人側としては
それなりの高条件で募集をかけることが多いです。

医師にとっても、
当直がない、オンコールがない、
土曜は午前だけで、日曜祝日は休み、
経営にはタッチせず、責任も小さく、
それなのに年収が上がるとなると
パッと見ではよい求人に見えることでしょう。

お互いのニーズが合っていそうなのに、
意外と「失敗事例」が多いのも事実です。

それはなぜか?

医療法人側は、
多額のコストをかけてクリニックを作っていますから、
患者さんの支持を得られない医師では
長く勤務を続けてもらうわけにはいきません。

雇われ院長(分院長)といえど、
医療法人の理事に就任することになりますから、
いくら診療に専念してよいと言っても、
登記上は経営陣の一角です。

赤字の運営が続けば、
その責任を問われることもあるでしょう。

医師側も負担が少なく、
高収入を得られると思っていたのが、
収益性を高めるために、
検査数を増やせとか
もっと患者数を増やせと言われてしまうなど
構造的に相反する立場であることが
あとあと判明してしまったりするのです。

面接の時点では
いい話ばかり聞かされて、
先生のお力が必要ですとまで言われて、
是非一緒にいいクリニックをつくりましょうと
握手までした理事長先生が
入職後の経営状態次第では、
態度を豹変させることもあるというのが、
雇われ院長(分院長)求人の
大きなリスクであることは間違いありません。

しかも薬局を経営する親会社を持つ医師紹介会社が
医療法人に積極的に出店してもらうために
雇われ院長(分院長)求人を
やたらとおススメしてくるということもあるそうですよ。

本来は地域の患者さんのために
価値ある存在のはずのクリニックが、
大企業のビジネスに絡めとられているという事例を
私は今までも何度も見てきました。

 

・雇われ院長(分院長)の悲しき事例

ここでは最近の事例として、
ふたつほどご紹介します。

ひとつめは50代前半のB先生の事例です。

すでに5年間も分院長として勤務してきました。

クリニックの経営状態も順調で、
毎日多くの患者さんが来院をしてくれています。

ご自身も何の不満もなく、
理事長も満足してくれているとばかり思っていました。

ところがある日、法人の幹部に呼び出されて
「先生との契約は今年度いっぱいということでお願いします」と
通告されたそうです。

まさに青天の霹靂で、
頭に血が上ってしまったこの先生は、
理事長に抗議をしたのですけど、
どうやら某大学を退官する教授の就任が
すでに決まっているとのことで話は一向に進まず。

法人側の勝手な都合で
はじき出されることになってしまったのだそうです。

仕事自体はやりがいを持っていただけに、
B先生は遅ればせながら
自分のクリニックを持つことを決断して、
開業準備に取り掛かりました。

次に女性医師のS先生の事例です。

子育て中ということもあり、
できるだけ自宅に近いところで職場をお探しでした。

ある大手の医師紹介会社より、
通勤時間が15分ほどの医療法人の分院長の求人を紹介されて、
これ幸いと面接に進んだところ、
あれよあれよと内定、条件提示と順調に進みます。

勤務時間はS先生の希望通りにしてくれたので、
さすがに断る理由がないかと思っていたのですが…。

勤務を開始してみると
何だかスタッフの入れ替わりが激しいのです。

嫌な予感はしていたのですが、
理事長から自費診療を患者に勧めるように指示され、
それがエビデンスがなく、
医師としての責務から
患者が必要としないものをお勧めすることができず、
S先生も悶々としながら悩んでいたそうです。

しかし何度も理事長から強い指示をされてしまい、
スタッフが辞めるのはこういうことか、
もうここでは続けられないと退職をしたのでした。

私の経験上では、
すでに分院を複数持ち、コンプライアンス上も
しっかりした体制を整えていない法人では
このようなことが少なくないように思います。

すでに何度となく当ブログでも
雇われ院長(分院長)の求人には
慎重になったほうがいいと書いていますが、
何年経ってもこのような失敗事例が減らないことが
少し残念に思います。

 

<参考>
雇われ院長…患者が少ないのは医師の責任なのか?

 

 

2.雇われ院長(分院長)は勤務医です

雇われ院長(分院長)は、
確かに院長ですし、法人の理事ではありますが、
経営者ではありません。

立場上は院長だけれど
大きな権限を持たせてくれるケースは多くありません。

診療に専念できるというのは、
裏を返すと
診療以外はするなということと同義とも言えます。

名刺には院長と書かれているけど、
実質的には勤務医と変わらないどころか、
組織が小さいだけに
がんじがらめにされてしまい、
毎日悶々としているという話も聞きます。

患者さんを増やそうと
法人にいろいろ提案はしてみたけれど、
すべて却下されてしまって
モチベーションを大きく下げたという事例もあります。

ある程度の覚悟を持って、
リスクもそれなりに想定していて、
そのうえで決断なさるのはいいと思います。

しかし、メリットばかりに目が行ってしまい、
デメリットをまったく知らないというのは
これは避けたほうがいいと思うのです。

 

・問われるのは自身のキャリア観と望む働き方

雇われ院長(分院長)が合う先生も
いらっしゃるとは思います。

外来が好き。
一次医療にやりがいを感じる。
患者さんとの距離は短いほうがいい。
スタッフと和気あいあいとしたい。
地域医療に貢献したい。

このような先生は、
雇われ院長(分院長)は合っていると言えます。

しかし、なぜ自分のクリニックを
つくろうと思わなかったのでしょうか?

経営者になる自信がない。
初期投資の大きさにビビッてしまった。
大きな責任は負いたくない。
開業準備に費やす時間がない。
家族に反対されてしまった。

さまざまな理由があると思いますし、
最初から開業は選択肢に入っていないことも
それなりにあると思います。

誰もが開業医になる必要はありませんし、
雇われ院長(分院長)も立派な仕事ですけど
自分で開業しない、できないことが、
実は雇われ院長(分院長)に就任する際の、
最大の弱みにもなってしまうことは知っておきましょう。

それでも「やりたい」と思えるのか?

失敗に終わってしまったケースで、
なぜ雇われ院長(分院長)を選んだのかと聞きますと
そこに主体的な理由がないことがほとんどです。

たまたま先輩医師に誘われた。
医師転職エージェントに紹介された。
通勤しやすい場所にクリニックがあった。
当直オンコールから逃がれたかった。
今よりも年収が上がる。

このようなきっかけが多いようです。

別にそれが悪いとは思いません。
人は時に理由がない行動を取ることは多いです。

ただ、雇われ院長(分院長)には、
構造的な問題があって、
それが悪いほうに出てしまうと
辞めなければならないこともあり得るということは
頭の片隅に入れておいたほうがいいです。

リスクを知らないばかりに、
後々思わぬ事態に巻き込まれることは
残念ながら多いと言わざるを得ません。

仮に患者さんが少ないとか、
スタッフとの人間関係が築けないとか、
法人から納得できない指示がくるとか、
そういうときにも踏ん張りが効くか?

つまり、雇われ院長(分院長)という仕事を
本当にやりたいと思っているのか?

究極的に問われるのは、
こういったキャリア観と言えそうです。

 

 

・ごく稀にクリニックを譲渡する事例はありますが…

雇われ院長(分院長)案件に興味を持ってもらうために、
また、入職を迷っているドクターを口説くために、
「〇年経ったら譲渡もできる」とか、
もし開業を志すなら「開業支援」もすることができる。

こんなことを言うケースがあります。

その一方で、
数年後に譲渡を切り出したら
とんでもない金額を提示されたとか、
開業を切り出したら
半径〇km以内は許さない、
患者を持って行くのは厳禁で
診察室にカメラを取り付けられたという
とても残念な話を伺うこともあります。

とにかく失敗をしてほしくないので
あえてマイナスの話を続けておりますが、
要はこのような注意点があり、
チェックポイントがあるということです。

日本全国に医療法人の分院が
いくつあるかはわかりませんが、
その数だけ雇われ院長(分院長)があるわけで、
そのすべてが失敗ではありません。

双方が納得感のある働き方ができているはずですし、
某医療法人では実際に譲渡を実現した話も聞きます。

そこには、うまい仕掛けがあって、
お互いが発展できる仕組みがあります。

そういうものがないと
そんなに簡単に譲渡など普通はできません。

話は変わりますが、
昨今では長年地域に根差してきたクリニックの
承継案件が増えています。

しかし成立することは
あまり多くないように感じています。

これは構造的な問題が隠れているからです。

売り手は、1円でも高く売りたい。
買い手は、1年でも安く買いたい。

売り手は、退職金代わりに
最後にまとまった資金を手に入れたい。

買い手は、患者を引き継ぎながらも
できるだけ少ない資金で始めたい。

このように相反する立場なので、
そこに大きなメリットがあるとか、
他にはない有利な条件でないと難しいです。

これは譲渡も同じです。

構造的に双方にメリットがある仕組みがないと
普通は譲渡はされないことが多いです。

世の中はそんなに甘くありませんから、
美味しい話に乗るのではなく、
本当に自分がやりたいと思えるのか?

大事なのはこの問いではないでしょうか?

 

<参考>
雇われ院長の失敗事例が多すぎる!

 

 

*まとめ

雇われ院長(分院長)は、
「院長」「理事」という肩書きがある一方で、
実態は勤務医に近く、
権限が限定されやすい働き方です。

高条件に見える求人でも、
入職後に収益目標や診療方針の圧力が強まり、
価値観の衝突や突然の契約終了など、
構造的リスクが表面化するケースがあります。

大切なのは、メリットだけで判断せず、
デメリットやチェックポイントを理解したうえで、
それでも自分が本当にやりたい仕事なのかを問い直すこと。

主体的な理由とキャリア観が、
最終的に自分を守ることになりますね。

それでは、また…。

 

 

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