おはようございます。
医師が転職や開業を通して
より良い未来を手にするために
キャリアプランの重要性を発信し続ける
ジーネット株式会社の小野勝広です。
当然と言えば当然ですけど、
昨今、医療系の紹介会社に対する風当たりが、
すこぶる強くなっています。
当ブログでは、
もう10年以上前から警報を鳴らしていましたので、
「ついに来たか」というところですが、
本来ならもっと早いほうがよかったかもしれません。
私は医療業界で仕事をする前は、
法律関連で、士業事務所や
大手企業の法務部や知的財産部に対しての
紹介業を7年半ほどしてきました。
すでに医療に来てから15年が経ちますが、
最初の頃は大きな違和感を感じることも多かったです。
その多くは、医師も、医療機関側も
「紹介会社」をよく知らずに使っていた。
もうそこに尽きるのではないでしょうか?
その後、実にさまざまなことが知れ渡ることにより、
紹介会社に対して「いい加減にしろ」という思いが
段々と積み重なり、見過ごせなくなってきた。
それが遅ればせながらですが、
「いま」であると言えそうです。
本日のブログのタイトルは、
【 医療系紹介会社を叩くだけでいいのか? 】
といたしました。
<目次>
1.医師会や病院協会の提言を分析する
・紹介会社「憎し」で自責はなし?
・「人」に投資しないでいいのか?
2.私が本当に実効性のある提言をすると…
・悪質会社は職業紹介免許をはく奪せよ
・紹介会社の口コミサイトをつくってみる
*まとめ

目次
1.医師会や病院協会の提言を分析する
先日、日本医師会と四病院団体協議会が
下記の報告書を出しました。
~医療分野における人材確保と
有料職業紹介事業等の適正化に向けた提言~
私のスタンスは、
「悪質な紹介会社は退場させるべき」ですし、
「医療系紹介会社は猛省せよ」ですので、
言わんとするところはよくわかりました。
とても丁寧に、綿密に調査をされていますし、
違和感を持つところはそれほど多くはなかったです。
ただ、やっぱり現場とは遠い感じを受けましたし、
結論ありきで一面だけを強調しているように思いました。
決して的外れではありませんので、
おそらく多くの方々の賛同は得られることでしょう。
しかし、このままでは問題の核心を放置して、
また元の木阿弥に戻るのではないかと
かなり心配になるところもあります。
今回のレポートでは、
医師だけに限定されておらず、
看護師、薬剤師など
コメディカルスタッフも含んでいるために
話がわかりにくいところもありました。
私は医師に限定して考えてまいります。
・紹介会社「憎し」で自責はなし?
このレポートが発表されてから
X(旧twitter)などSNSで
どんな反応があるかを確認しました。
まあ案の定と言いますか、
9割以上の方々が医師紹介会社に
非常に厳しい見方をされていました。
もともと紹介会社の一員でありながらも
私自身もかなり医師紹介会社には批判的なタイプですので、
予想の範囲内ではあります。
しかもこのレポートは、
医師会と四病院団体協議会という
オフィシャルな組織が出されていますので、
影響力は相当に大きくなりそうです。
政治や行政も動かざるを得ないでしょうし、
医師紹介会社に対して何らかの規制は必要であると
私も考えています。
しかし、本当にこのレポートのままでいいのかは
正直かなり疑問があります。
先日、ある医師からのご相談で、
退局を申し出たら
とんでもない引き留めにあった話を伺いました。
今までにも、
「この県では医師として仕事ができなくしてやる」とか、
「専門医を維持できると思うな」とか
そんな話を何度も伺いました。
別に大学医局だけではなく、
自治体病院や民間病院でも
それはどうなの?という話はいくらでもあります。
「最低限、労働基準法くらいは守ってください」。
「医師を奴隷のように扱わないでください」。
入職後に条件を不利益変更するとか、
雇用契約書に書かれていない内容を付加するとか、
一方的に年収を下げるとか、
こんなケースも何度も伺ってきました。
これで、何でも紹介会社のせいにするのは
いかがなものでしょうか?
当ブログでは何度も何度も、
医師紹介会社に対する苦言を具体的に述べてきました。
本当にロクでもない紹介会社が存在するのは事実ですし、
業界内の一人の人間として非常に恥ずかしく思います。
しかし、それ「だけ」ではないのも事実です。
医師の紹介手数料が
「約247.6億円」もあると述べて、
「高額な紹介手数料は医療機関の収益を圧迫する要因」と言いますけど、
では人事部をつくり、専任の採用担当者を置いて
自前で医師の採用活動をすればいいと思うんです。
その費用が「約247.6億円」を優に超えるのであれば、
はたしてどちらのほうがいいでしょうか?
今は「定着しないのはエージェントのせい」だと言いますけど、
私も8~9割の紹介会社に責任はあると思いますけど、
医療機関側の不手際で早期退職となることもあります。
あたかも無期契約のように見せかけつつ、
実態は一年契約というのは問題ではないでしょうか?
だいたいですね、「約247.6億円」というのは
正直、印象操作であり、
実際にどれくらいの「利益」になっているか?
こちらは調べないのでしょうか?
私の知るかぎりでは、
そこそこの売上は上がっているけれど、
赤字で運営しているところや、
利益が出ていないところは少なくありません。
そこで紹介手数料の上限規制を実施すれば、
倒産する会社は増えるでしょうし、
医療から撤退するところも確実に増すでしょう。
私は本当の意味で医師の転職支援として、
真っ当な事業ができている会社は
10社もないと思っていますので、
社数を減らすのは反対ではありません。
しかしどの会社にも社員がいて、
みな頑張ってはいると思うんですね。
経営者の責任を追求するのはわかりますが、
社員の人生を狂わせるのはいかがでしょうか?
その人たちやそのご家族も患者になるんです。
ちなみにですね、
某大手の医療法人さんは
紹介会社は我々のパートナーだと位置づけて、
とても丁寧な対応をしています。
そして雇用条件や待遇も年々良くなっていますし、
医師の定着率もすこぶる良いようです。
こういう事実から目を背けて、
紹介会社を叩いても
あまり効果的ではない気がしてしょうがないのです。
なかには医療機関側から、
手数料をアップするので是非ご紹介くださいと
こんな提案を受けることもあります。
この事実は把握しているのでしょうか?
・「人」に投資しないでいいのか?
先日、facebookにこんな投稿をしました。
医療系の人材紹介の手数料率が話題ですが、
30%以上とか、500万円とか、このレベルは異常です。
相場は年収の20%であり、
これでも高いと言われていましたが、
上限を20%にして、
それでやっていけない会社は退場でいいです。
経営的にはギリですけど、儲けすぎはイカン。
これは私の本音です。
心の底からそう思っています。
事実、弊社の紹介手数料は20%ですし、
これを上げようと考えたこともありません。
しかし「値決め」というのは、
各社が決めることであって
これに規制をかけるというのは
法的に実現可能なのでしょうか?
医療機関は、
常に診療報酬に左右されますし、
これは公定価格ですから
あまり違和感を持たないのかもしれません。
ところが民間企業にとっては、
そういう感覚はありません。
果たしてどうなるでしょうか?
もうひとつここで考えておきたいのは、
医療業界以外の紹介会社の現状です。
紹介手数料は初年度年収の30%なら安価なほうで、
35%、40%というケースもざらになり、
特殊な職種ですと50%とか、
ヘッドハンティングであれば数千万円を掛けてでも
是非とも採用したいというケースも多いです。
それだけ「人」に投資をしているのですね。
昨今では、医療事務をされていた方や
看護師などが民間企業に転職をするケースが増えています。
ハラスメント体質があったり、
硬直化した組織体制に嫌気が差したりしているようです。
別に紹介会社に文句を言うのもいいですが、
内部ですべきことはありませんか?
あくまでも一般論ですけど、
医師が一人増員されると
売上は一億円も上がると言われるようです。
紹介会社云々というよりは、
医療機関として医師に投資する、
引いては「人」に先行投資する。
そういう発想はないのでしょうか?
もともと医師の世界は大学医局が人事権を握り、
人を人として扱わないところがあり、
条件も、本人希望も確認せず、
明日から異動とか普通にしていたわけです。
こういう時代に戻っていいのでしょうか?

2.私が本当に実効性のある提言をすると…
少し医療機関サイドに厳しい発言をしましたが、
当ブログをお読みの方々はよくご存じのように
私はそもそも医療系の紹介会社に対して、
かなり批判的でした。
ここで述べ始めたら止まらないくらいに、
欠点、短所、弱点、難点、汚点、欠陥、不備など
本当に情けない限りなのです。
私自身、人材紹介業を20年以上も続けており、
営業パーソンから管理職、経営者と
さまざまなポジションで関わってきました。
親会社から天下ってきた社長とか、
自社都合しか考えていない役員とは
事業にかける思いが違います。
私が医療業界で転職支援をするようになってから、
トラブルは一度もありません。
早期退職による返金が発生したのも
たったの2回だけ。
医師は1回、看護師が1回ですが、
前者は体調不良が要因で、
後者は未経験領域への挑戦がうまくいかなかった。
これだけです。
要は、事業の設計とマッチング手法が真っ当ならば
それほど返金は発生しないと私は考えています。
こういう会社をつくりあげてきたからこそ
誠に僭越ですが、私なりの提言を考えてみます。
・悪質会社は職業紹介免許をはく奪せよ
どこの業界でも、どの職業でも、
その質は「ピンキリ」だと思います。
とても良質な製品・サービスを提供しているところもあれば、
そうではないところもありますよね。
医師の転職支援業界で見ても、
これは私の個人的な見解ではありますが、
相当に良質な紹介会社が1割、
まあまあの水準の紹介会社が5割、
素人に毛が生えたようなレベルの紹介会社が3割、
悪質と言わざるを得ない紹介会社が1割。
私の知るかぎりでは、
こんなところではないかと思います。
本当は素人に毛が生えたレベルも
何とかしなければなりませんが、
まずは悪質な1割の紹介会社。
ここを断罪すべきと考えています。
前述した日本医師会と四病院団体協議会のレポートでも、
「そんなことあるの?」という悪質な事例が紹介されていました。
長年の私の経験の中でも、
これはさすがに紹介会社が悪質だというレベルです。
善意で頑張ったけど、
ミスマッチになってしまった。
このレベルは100歩譲って致し方ないですが、
(いや致し方なくはないけど)
最初から詐欺的な会社は厳しく処罰するべきです。
まずはこういう会社に対しての
断固たる処置が必要不可欠ではないでしょうか?
端的に言うと職業紹介事業者の免許取り消しです。
ところが、悪どい会社というのは
次から次へと抜け道を編み出すわけですね。
そこで職業紹介事業を取り消された会社の
代表、取締役、職業紹介責任者については、
職業紹介事業を二度とできなくするのがいいと思います。
ここまでやらないと
こういう輩は必ず同じことを繰り返します。
ただ法的には無理かもしれません。
根っこが詐欺師な人は
会社を変えながら何度も同じことをします。
だから確実に退場させないと
業界全体がよくなりません。
似たような悪質な事例は、
裏に同じ人がいる可能性が高いと思うのです。
・紹介会社の口コミサイトをつくってみる
自業界の常識は他業界の非常識。
よくこんな言い方がされますね。
一面では真実だと思いますけど、
別に他業界の非常識だから
すべてがよくないということにはなりません。
ところが自業界にいるからこそ
長所や短所がよくわかるとか、
利点や欠点が見えてくるということは
やはりあると思うのです。
それは例えば医療機関に対しても、
私のような外部の人間の見方と
医師の見方が異なるのが当然のようにです。
どちらが大事とか、正しいとかではなく、
多角的で、多面的に分析するということが肝心です。
今回のレポートは、
医療機関側から見た紹介会社への評価です。
それは一面正しいけれど、
業界内にいる人間から見ると
その背景や内部事情など
おそらく言いたいことの一つや二つは出てきます。
こういう意見も集約するのがいいと思うのです。
例えば私のところには、
某社の〇〇という人間にこういうことをされたという
非常にリアルな情報が入ってきます。
さすがに当事者でない私が、
労働局に通報するというのもどうなんだろうと思うので、
せっかくの情報が宝の持ち腐れになってしまいます。
こういった情報を集約する口コミサイトがあったら
医療機関にも、医師にとっても、
参考になるかもしれないと思うのですがいかがでしょうか?
一般的な口コミサイトでは、
どうしても厳しい評価が多くなってしまいますが、
ここでは参画者を絞り込んで
生の情報が届くようにするのもよさそうです。
イチ時期、ランキングサイトがありましたが、
出資元が大手の転職エージェントで
いつも同じところしか掲載されないので
あっという間に廃れました。
やはり宣伝広告ではなく、
リアルな情報であることが肝要です。
最後にもうひとつ、
これは決定的な特効薬をお知らせします。
結局、紹介会社は、
医師に登録してもらわないと
何もできません。
臭い物に蓋をする作戦ではないですけど、
ここにメスを入れると一気に事が運びます。
今はおそらくエムスリーが最も多く、
日経メディカル、メドピアなどのポータルサイトに
求人を掲載して医師の登録を促すことが多いです。
でもこれは裏を返すと、
ここを抑えると悪質な業者も何もできなくなります。
実際にマッチング力が高くて、
自力で医師からの問合せをもらえる紹介会社は
こういうところを使っていません。
しかし力がない、つまり売上が上がらない、
こんな会社に限って他力本願なのですね。
正直、このサイトがなくなったほうが
医療業界にプラスになると思います。
エムスリーも、日経メディカルも、メドピアも、
正式な要望が入れば検討するような気がします。
そして、こういうサイトがなくなっても
十分に事業が成立する紹介会社は
相当に真っ当で力がありますよ。
ただ前述したように
本当に悪質な会社は逃げ切ります。
問題はこういうごく一部の会社が
全体のなかで多くのパーセンテージを
示しているかのような論調です。
それなりの規模の企業は、
ほとんど必ずと言っていいほど
人事部を持ち、専任の採用担当者を置いています。
それでも数多くの紹介会社を利用しています。
この事実を見逃がして、
医療業界だけ特別というのは
道理が通らないと思います。
悪質な紹介会社を退場させるのは賛成ですけど、
紹介会社を通すなというロジックは
さすがに無理があります。
求職者を思い通りに誘導したい思惑が
透けて見えてしまうのですね。
必ずかつてと同じ問題が出ます。
事実、昨今では医療業界を離れてしまう
医療従事者が年々増えているわけです。
すべてが紹介会社の責任ではありませんし、
むしろそれよりも前にやるべきは
労働基準法の遵守であり、
働く医療従事者の働きやすさをつくることです。
<参考>
医師転職エージェント(医師紹介会社)の取扱説明書!

*まとめ
おそらく「早晩」医療系紹介会社への
何らかの制約は実施されるでしょう。
しかし効果はあまりなく、
むしろ真面目に事業展開する紹介会社が苦しみ、
悪質な会社は手を変え品を変えて
のうのうと生き残るような気がします。
採用活動というのは、
求人者と求職者の需要と供給のバランスと
双方の相互理解が必要です。
その本質に踏み込まずに
求人側だけの都合で制約をつけても
あまり意味はないと思います。
もっと求職者のことを考えるべきです。
みなさん必死に生きているのですから。
それでは、また…。
*ジーネットTV youtubeにて医師のキャリアについてお話ししています。
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