フリーター医として
すでに３年働くＦ先生。
割のいいバイト先をいくつか確保していたので
順風満帆に収入を得ていました。
同期の先生方と比較しても
稼ぎは良い方でありました。
なんでみな自分のように働かないのだろうか？
定額働かせ放題で満足できるなんて
自分にはよくわからないや…と語ってました。
そんな日々に冷や水を浴びせたのが新型コロナです。
今まで３カ所の定期非常勤先と
時々割のいいスポットバイトを入れる事で、
常勤医よりも高収入を確保できていたのですが、
２か所の定期非常勤より
勤務終了を言われてしまいました。
慌てて他のバイト先を探すも
なかなか見つかりません。
スポットバイトも
今まで行っていた割のいい先は
ほとんどがクローズになってしまい、
時々求人が出ても
他のドクターもみな困っていて
１件の求人に殺到する始末です。
Ｆ先生の希望よりも
低額の給与でも引き受けるドクターが出てきて、
Ｆ先生には回ってこなくなりました。
困り果てたＦ先生。
今まで使っていた転職エージェントでは
もう良さそうな求人が出てこないと悟り、
新たな転職エージェントに登録をし始めました。
なかには聞いた事のないエージェントもあり
大丈夫なのかな？と心配はありましたが、
背に腹は代えられません。
その中の１社から
ただ名義を貸すだけで〇万円という案件があります…と
案内をされました。
月に数日、数時間だけ出勤すればよく、
名前だけ院長になってくれれば
あとは他のスタッフが上手くやりますので
とても割のいいバイトです…と。
さすがに安易に乗れないと思ったＦ先生。
最初は断っていたのですが、
他のエージェントから求人案内がされない中で
バイトが見つかるまでは仕方ないか…と思い始めて…。
医療法人の理事に会ってみると
医療業界にはいないタイプで
バリバリのビジネスマンというか、
いかにも事業家というような方です。
いかに自分たちが収益を生んでいるのか？
この収益をＦ先生には還元できるという事を
熱っぽく語ります。
絶対にＦ先生には迷惑を掛けませんから
安心して引き受けて下さい…と言います。
この話しを持ってきたエージェントの人も
Ｆ先生、大丈夫です。
この方は信用できる方ですから
心配は要りません…とプッシュします。
実質何もせずにフィーが頂けるのですし、
迷惑は掛けないと言われて
自分も何とか稼ぎを増やさねばならない状態ですから
まあいいか…と考えて
この話しを引き受けたＦ先生。
し・しかし…。
それから6か月後ですが、
〇〇警察署より電話が掛かってきました。
院長を勤めている〇〇クリニックについて
お話しを伺いたい…と。
所轄署に伺い、
警察官から話しを聞くと
自分には全くわからない事だらけで、
話しを聞いた理事はすでに逃亡しており、
幹部はみな逃げ去ったようです。
院長であるＦ先生に
すべての責任が被さっており、
事情がわからないＦ先生は戸惑うばかり。
ほとんどクリニックに出勤していないため、
誰かスタッフに聞こうと思っても
誰も思い浮かばず、
この話しを持ってきた転職エージェントに電話しても
すでに不通になっています。
怪しい話しに乗った自分がバカだった…。
この後、どうなるのか不安でしょうがないＦ先生でした。
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